· 

自分らしく

 

子供が出来る=一人の時より自由な時間が減る、

今までと全く同じような生活を送ることが出来ない、というのは本当かもしれない。

 

でも自分らしく生きることが出来ないというのとは、

必ずしもイコールではないなということを、最近とても実感しています。

 

一人の時とは違う形で、私は私らしく生きている。

もしかしたら、前よりも私らしく生きていられているのかもしれません。

 

一人の頃は、周りのことは余り気に留めず、

自分のやりたいことだけを純粋に追いかけてきました。

そんな私にとって、色んな葛藤や焦りの末に辿り着いた今の心境。

 

正直こう思える日がくることなんて、数年前の自分には想像も出来ませんでした。

子供が出来てすぐの頃は、今まで応援してきてくれたお客さんたちに前みたいにライブを届けられなくなったことや、

色んな場所に歌いに行くこともしばらく難しくなったことで、

これまで大事にしてきたものを失ってしまったような心細さがありました。

 

でも、これまでの自分最優先の生き方だけに食らいついていたら、

私は結果的には全て失ったかもしれない。

 

今はそんな気がします。

 

周りも見ずに突き進む時代があったことは悪いことではなかったと思います。

あの頃の自分に後悔はしていないけれど、

あのまま突進していたら、それはかなり傲慢な生き方になっていたはず。

 

そんな生き方のままで音楽を作り続けていたら、

多分私は、結局のところ行き詰まっていたんじゃないかなと思います。

 

子供に、人生の大きなうねりをもらって、

私は自分のことを立ち止まって見直す機会をもらいました。

 

今の生活は、長い目で自分が音楽と一生向き合っていくにあたって、

絶対に必要な時なんだと、今は確信しています。

 

そしてたとえ少し時間がかかったとしても、

今の日々の中で耕している自分の内面を、いつか必ずまたきちんと形にして、

届けられる人のもとへと届けよう。その思いだけは強く、持ち続けています。

 

この思いを絶やさずに持ち続けてコツコツ諦めずに僅かな時間の中でも音楽と向き合い続けていれば、

人生の流れの中で、また音楽が一番表になる日も来ると信じて。

 

そのときには、前みたいな活動はもう出来ないかもしれないし、

規模だってどんなものになるのか想像もつかないけれど、音楽と向き合い続けて生きよう、

その想いが心にしっかりと根を下ろしているかぎり、今現在何をしていようと、

どれだけ日々の生活に精いっぱいでも、私は私らしく生きている、そう胸を張って言える。

 

そのことが私にとって一番大切なことであり、私の幸せです。