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「弱さを見せる」という強さ

 

 

 

 

 

 

年末、不意打ちに飛んできたある人の心ない言葉が、

尖ったナイフみたいにぐさり、と刺さって、

だんだんそれが心の深いところまでずん、ずん、と入ってきた。

 

寝ても冷めても、その言葉がぐるぐる、頭の中で繰り返されて、

私は久しぶりに落ちてしまった。

文字通り凹んでしまった。

 

一つが崩れると、全部がドミノのように崩れていく。

子どもたちとも、家族のことも、なんだか全部うまくいかなくなった。

早く立て直さなくちゃと思えば思うほどに、追い詰められてしまって、

それがピークになった日の朝、私は数時間だけ全部放り投げて一人で家を飛び出した。

 

その日は友達と会う約束をしていた。

 

でも、もう会う元気もなかった。

 

私は小さな嘘をついてその日の約束をキャンセルしてしまった。

あの時、「ちょっと聴いてよ〜っ!」て言えたらどんなに楽だっただろう。

喉元まで出かかっていたのに、プライドが邪魔をしてしまった。

 

その時の嘘が、喉のひっかかった魚の骨みたいに、ごくん、とするたびにちくっ、と痛んでいた。

 

そしてこの前、友達が遊びに来た時、私は思い切ってその嘘を打ち明けた。

こっちは清水の舞台から飛び降りるような気持ちで打ち明けたんだけど、

 

みんなは「えー!!そんなこと言ってくれたら良かったのに!!!」と

笑い飛ばした。

 

「もっとそういうとこ、見せてよーもっと好きになったよー」って。

手にかいた汗がもったいないくらい、みんな私のことを受け入れてくれた。

 

 

名古屋に来てもうすぐ3年が経つ。

一人も知り合いがいなかったこの街にも、

いつしかこんなことを言ってくれる友達ができたんだと思ったら嬉しかった。

 

次の日は、心配してくれていた友達が気分転換にドライブしようなんて誘ってくれたりもした。

 

これまでの私は、どんなに仲の良い友達にも、迷惑をかけたくないから、

嫌な気持ちにさせたくないから、

そしてクールに振る舞いたいから、弱さを隠す術ばかり磨いてきた。

 

でも、そんなこと言ってられないくらいに落ち込んで、

思い切ってその強がりを捨てて「助けて」って言った時、

何か自分の心がふわっと開いた感じがした。

 

そしてその開いたところから、周りの優しさがじんわりと入り込んできた。

硬く閉ざして強がっている時には感じられない感覚。

あぁ、もう強がりなんてやめちゃおう。

 

今年は「強がり」というニセモノの強さじゃなくて、

「弱さ」も受け入れて、弱さも見せる勇気、

そんな新しい強さを身につけていきたいなって思う。

 

でも、これまでの強がりの私も頑張ってたんだよね。

それはそれで、自分を守るために必要な時もあったんだ。

そんな弱さも時間をかけて受け止めていけたら、もっと素敵な人生が待ってると思う。

 

それにしても、友達は宝物だね。

大切にしよう。