親になってから「〇〇ちゃんのお母さん」ではなく、私として付き合える人が
たくさんできたことは、私にとって本当に幸せなことだなと思います。
この二週間ほど、いろんなお母さん友達といつもよりゆっくり話せる機会が何度かありました。
その中で、若い頃の話をすると、当時は全く接点のない人生を送っていたけれど、
実は当時の住んでいる場所が近かったりすることが結構あり、
私たちは自分の人生だけど、自分でコントロールできる部分というのは意外と少ないことに
改めて気づきました。
だから何でもかんでもコントロールする力を覚えることよりも、上手に委ねるところは委ねて、
自分でコントロールできるところはしっかり自分で舵を取る、そのバランス感覚を磨くことの方が
人生では大切なのかもしれない、というのが最近思うことの一つなんですが、
うまく、手放して、自分ができることはきちんと自分でする。
これが意外と難しい。
これって心が柔らかくオープンな時でないとそのバランス感覚はすぐに鈍ってしまうように思います。
私は、大変な時、心に余裕がなくなると、つい「不足」ばかりに目が向きます。
そしてその矛先は大体家族や身近な人たちです。みなさんはどうですか？
ついつい、
「あれをしてくれない」「これをしてくれない」って不満が出てきてしまう。
小さなことなんですよ、洗濯干しておいてって言ったのに干しておいてくれてないとか（笑）
でも、そういうことが心に余裕がなくなると目についてしまって、そんな自分がまた嫌になる。
これを私は「ないない病」と名付けています（笑）
でも、本当に「ない」のは心の余白なんですよね。
「ある」ものを見る心の余白がなくなっているだけ。
本当の豊かさは心の余白を使ってしか、感じられないものなのだと思います。
以前、私が息子とインドに行った時のことです。
あの頃、結構貯金が底をつきそうだったのですが、どうしてもこのタイミングで行きたくて、
なんとか貯金をかき集めて行ったんです。
でも、正直心の中には貯金がなくなることへの不安がありました。
そうすると、他のものも、なんとなく「足りない」ものばかりが目についてしまっていました。
けれど、なんとかかき集めた貯金で訪れたインドで、
私と息子が礼拝堂へ向かう途中、私と同じくらいの歳の母親と、
息子たちと同じ歳くらいの子ども２人の親子に物乞いをされました。
息子は同じ歳くらいの子どもに抱いていたぬいぐるみをくれと言われ、
私はその母親にお金をくれ、と言われました。
けれど、その場しのぎの援助はその人たちのためにもならないからしてはいけない、
と言われて現地のガイドさんに促されてその場を離れたんですが、
あの時の彼らの眼差しが今でもふと、私の頭をよぎることがあります。
あの時、私は自分がどれだけ「ある」ものに目が向かなくなっていたかに気がつかされました。
温かいシャワーを浴び、ミネラルウォーターが飲めて、
温かい食事ができて、寝る場所がある。
日本には愛する家族がいる、着る服がある。動く体があり、歌える声がある。
挙げ出したらきりがないほどの「ある」が、
堰を切ったように私の目の前に現れました。
それらは、あれだけ「ないないないない」と思っていたその時も、
ずっと私の周りにあったものたちでした。
あの時のあの親子は、私に
「あなたが持っているものに気づきなさい」
と教えてくれたように思います。
それからというもの、この「ないない病」が顔を出すと、
私は彼らとの出来事を思い出します。
「彼らと比べて自分が物質的に豊かだから幸せ」だ、
ということではないんです。
本当の貧しさは「心の貧しさ」からくることを身をもって学びました。
だから「ないない病」になっている時は、
一つ一つ思い出します。朝起きてから私ができたことを。
息をしていること、食べるご飯があること、家族が元気にそれぞれの場所へ出掛けて
そして帰ってきてくれること、着れる服があって、ありがとう、と言える家族がそばにいること。
当たり前すぎて、見えなくなっていることがたくさんあることに、
何度やっても気づきます。
なくなってから気づく前に。
まだ、目の前にある間に。
大切にしたい、と強く思います。
そして、「ある」ものに心が気づいたとき、
あ〜本当にありがたいな〜〜〜と思って、それをどう伝えようと思って氏神様に走ります（笑）
これからも、うまく委ねて、助けてもらっていることを忘れずに、
心はどんな時でも豊かでありたいなと思います。
山口春奈
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クラウドファンディング「PRAYACTION Project」にて制作した、
世界の祈りを集めたアルバム「SHANTI」
2023.3.21 Release
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