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思い出のテーブル

 

この春は、いつにも増して子どもたちとすごくたくさん笑った。

 

一人になりたいと切望していた数年前を経て、みんながそれぞれ学校や幼稚園に行くようになり、

「ただ一緒に過ごす」ことがイベントになるような年齢になってきた。

 

もちろん、四六時中子どもたちといるということは簡単なことではない。

 

子どもたちが学校や幼稚園へ通っているときにこなしているルーティンはできない日もたくさんあったし、

家はいつもより散らかっていた。

 

小さな子どもが3人いる、ということは、本当に独身の頃には考えられないようなことが日々起きるのだ。

掃除ひとつとっても、本当に何をどうしたらこんなところが汚れるの?というほど埃や砂が家に入ってくる。

 

でも、対してイライラもしなかった。

 

私も彼らと同じだけ歳を重ねたのだな、と思う。

 

この春は特に遠出をするわけでもなく、

みんなで畑を耕して、種まきをして、庭でバーベキューをしたり、唯一のイベントは

ドラえもんの映画を観に行ったことと、近所の公園の屋台へ行ったことくらいかもしれない。

 

半径5kmの中で過ぎていった春休み。

 

でも、年度末、子どもたちと真ん中に穴の空いた小銭を握りしめて、

いつもより丁寧に氏神様にお礼参りに行った時、

この東京の地がさらにまた一段と、わたしたちのことを受け入れてくれているのを感じて嬉しくなった。

 

あとこの春、忘れられない思い出がもうひとつある。

ずっと作りたかったカウンターテーブルを、みんなでせっせと手作りしたことだ。

 

ヤスリで磨いて、木屑だらけになってみんなでくしゃみをしてケラケラ笑って、

ワックスで木を磨いて服や手がいっぱい汚れてぎゃーぎゃー騒いでお風呂に直行したり、

私が電動ドリルで一つ穴を開けるたびに拍手喝采が起きて、

子どもたちはまるで私が野球の大谷選手かのように声援を送ってくれた。

 

そんなこんなで子どもたちに思い切り励まされながらご機嫌で作ったカウンターテーブルで、

今私はこのブログを書いている。

 

このテーブルは、私が絶対いつまでも修理しながら使い続けていきたいと思う。

できてまだ3日しか経っていないのに、子どもたちとのこの春の思い出が染み込み過ぎている。

 

写真はこのテーブルを作るために木材を買いに行く途中の景色。

 

私が住んでいる街の川辺の景色はとても綺麗で、川辺の景色だけは50年前も今もあんまり

変わっていないんじゃないかな、と思うくらい、のどかでやさしい。

 

ずっと旅もせずに同じ場所に留まっていることは私は多分できないと思うけれど、

こんなドメスティックな春も素敵なんだな、と思えるようになったのは、

コロナのおかげかもしれない。

 

そろそろ新学期が始まる。

たくさん作った思い出を胸に、またそれぞれの生活へと一歩踏み出していこう。

 

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